
ただ、流れるままに気がつけば、京都という土地に立っていた。
学び、出会い、祈り、そしてコネる。仏さまとともに過ごした歳月は、お念土師・大久保汰佳の内側を熱く、揺り動かしていった。
人と仏さまに導かれ、お念土師・大久保汰佳の世界は輪郭を広げていく。
これは、ただ仏教が好きだった一人の青年が、長野に生まれ、京都で「お念土師・大久保汰佳」になるまでの物語。
ima presents「かたる」お念土師・大久保汰佳 最終話。
彼が紡ぐ世界に、触れてみてください。
京都に流れ、流れのなかで変わる
京都に来たかったんです。だから、今通っている大学「種智院」を選びました。自然な流れでしたね。単純に京都というところに住んでみたかったんですよ。大学は、仏教や密教のことを専門的に学べる場所です。もちろん、授業でしか得られないこともたくさんありますが、普段の学校生活ではなく、自分のやりたいことや個人的な行動に応えてくれるのも、この大学の魅力ですね。
京都は本当にすごい土地で、いろんな人が集まってくるのですよ。お寺の住職ではない方でも、真言宗のお坊さんとして活動している人がいて、大体は種智院の先輩だったりします。そうしたご縁から、いろいろなことを教えてもらい、経験をさせてもらいましたね。この4年間で、自分でもびっくりするくらい変わったと思います。新しい知識を吸収して過ごせていますね。お坊さんとしても、大きく成長できたと思います。


一気に開けた世界
高校生までの頃も、仏教が本当に好きだったので、誰よりも詳しく勉強していたと思います。でも、京都に来てからは、次々と知らないことに出会い、幼稚園の頃に『日本の仏像』50巻分の仏像知識を詰め込んだのと同じくらい、新しい知識が増えました。面白いことがありすぎて、困るくらいですよ。
何より大きかったのは、人との出会いです。気づいたら、好きだったお寺の中の人になっていたりするんですよ。だから、今もあちこちに足を運んでいます。
法話会は「仏教サロン京都」で2年前に何度か行いました。また、展覧会は昨年の秋に六波羅蜜寺や奈良の岡本寺でお勤めもしましたね。いわゆる出開帳として、各種の催しにはお声がかかれば参加していますね。
拝観案内もしていますよ。毎年、神護寺の春秋の特別公開にお手伝いに行っていて、その都度、仏さまやお堂の案内を自分の好きなように話させてもらっています。

三井寺のベンベンとの出会い
滋賀三井寺との出会いは、高校生のころ、ちょうどコロナの時期でしたね。三井寺の観音堂のご開帳をぜひ見に行きたいと思ったのと、さらに三井寺の素晴らしい仏さまたちにもお会いしたくて向かいました。しかし、宝物館は閉まっている状態でした。それでも、さまざまなご縁があり、ベンベンと一緒にお参りさせてもらったのが、三井寺との初めての出会いです。
そこから三井寺とのご縁がつながり、近年は三井寺のスタッフとして参加させてもらっている「舞鳥祭」というイベントがあります。
これは、俳優の井浦新さんがディレクターを務めるアパレルブランド ELNEST CREATIVE ACTIVITY 主催のイベントですね。イベントでは、出店やアクティビティのお手伝いを、三井寺のベンベンと一緒に行っていますね。祈祷や御朱印、朝の座禅など、さまざまなアクティビティを提供できる場で、とても貴重な経験になっていいるのです。
さらに、わたしの仏さまも三井寺に鎮座させてもらっています。4体の福神像を奉納して七福神としてチームを組んでいます、ぜひご参拝ください。三井寺は、わたしにとって特別で大切なお寺の1つです。




大学という遊び場
大学という場所は、わたしにとって遊び場でもありましたね。使えるところは何でも使ってきましたよ。
宗教活動にもすごく力を入れてきました。お坊さんというのは宗教者ですから…。「宗教」という言葉に少し抵抗があるかもしれませんが、仏教はやはり宗教なのですね。振り返ってみても、大学生活の4年間、わたしはバリバリ宗教をやってきましたね。
この4年間で、わたしの仏像や仏教に対する熱は一気に加速したと思いますね。
喋るのも好きですが、特に宗教者の方と話すのが好きなんですよ。この世界には、その人しか持っていない情報が多くあります。そうした話を聞くには努力も必要ですし、本当にコミュニケーションがすべてだなと思いますね。
大学4年間での話のネタはありすぎて、何を聞きたいかによって開く引き出しが山ほどあるのですよ。どれを開こうか、いつも悩むんですよね…。まぁ、それはまたの機会に、ゆっくり話していきましょうかね。

ただの「お念土師」です
わたしは、伝統的な仏師では一切ないんです。ただ、趣味で幼稚園の頃から粘土で仏像を作り続けている人で、しかもお坊さんなだけで…ただの「お念土師」なんですよ。
「お念土師」という肩書き、すごく良いと思うんです。なんだか気が触れたような、でも確信を持った表現だなと思います。「お念土」というのが、わたし自身の確信を得た表現で、まさにお念土の先生なんですよね(笑)。この名前をつけてくれたのは、かつての種智院にいたレジェンドのお坊さんなんですよ。感謝しかないですね。
そうして、わたしはお念土師・大久保汰佳として活動しています。
一つひとつの活動が、また新たな活動につながっていく。今も日々、新しいご縁が生まれています。わたしの表現方法のひとつ、お粘土で仏像を作ることを通して、これからも仏さまを拝み続けていきます。


執筆者のひとこと
わたしがタイガくんと出会ったのは4年前位の「舞鳥祭」というイベント。
井浦新さん(俳優/舞鳥祭主催のELNEST CREATIVE ACTIVITYディレクター)に「あの子面白いんだよ」と紹介されたことを鮮明に覚えています。
今回の取材中の雑談に「自分が取材や撮影に行った先で、『SNSにて、たいがさんとも繋がっているんですね』ってよく言われるんだ」と伝えると。タイガくんは「えー!!」とびっくりしていた。その反応も、自分からすると意外だった。
だけど、なんだろうか、その「えー!!」という声に、タイガくん自身がどれだけ自然体で発信をしているのかが滲んでいる気がした。自分がどう見られているかよりも、ただ好きなことを発信しているだけ、という感じがして、妙に腑に落ちた。
ただ、自身が思っている以上に、タイガくんは人を魅了させる力を持っているのだと思う、自分も魅了されたうちの1人だから。
この「かたる」シリーズの第1弾はタイガくんで行きたい!というわたしの想いに即答で応えてくれたタイガくんには、本当に感謝しかありません。
一緒に時間を過ごし、さまざまな話をするなかで、タイガくんが好きなことを、好きなように続けていくことで、仏さまの未来もまた、少しずつ明るくなっていく、そんな気持ちにさせられました。
最後に、ima presents「かたる」シリーズ 第1弾「お念土師・大久保汰佳」全4話をご覧いただいた皆さま、本当にありがとうございました。



